

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
医療費負担の軽減を目的とする「高額療養費制度」が見直しの局面を迎える中、子どもを持つがん患者の46%が、医療費増加により治療中断を検討しているという調査結果が明らかになりました。
全国保険医団体連合会(保団連)と患者団体「キャンサーペアレンツ」による緊急調査の速報値で、がん治療と子育ての両立が家計に大きな負担を与えている現状が浮き彫りになっています。
治療継続か、家計維持か──子育て世帯の厳しい選択
調査は2024年1月から2月にかけて実施され、5日時点で集計された284人の回答のうち、約46%(130人)が「自己負担が増えれば治療を中断する」と回答しました。
がん治療の継続は命に関わる問題ですが、同時に子どもの教育費や生活費という現実的な支出が重なり、治療と生活のはざまで葛藤する姿が浮かび上がります。
生活と教育への影響も深刻
同調査では、63%が「塾や習い事を減らす」、49%が「子どもの進路変更を検討する」と回答。医療費の負担増は、教育環境や将来設計にも直結する社会的課題となっています。
この影響は、教育格差や家庭の経済的格差を広げる要因にもなり得ます。がん患者が家庭の中心的な経済的役割を担っているケースでは、治療費の上昇は即座に生活全体の質に影響を及ぼします。
制度見直しへの当事者の声
肺がん患者で中学3年生と高校3年生を育てる水戸部ゆうこさん(50歳)は、6日に東京都内で行われた記者会見で「塾代や受験費用がかさむ中、国には闘病しながら子育てする親の声を届けたい」と訴えました。
「高額療養費制度の改定には現場の実情に即した配慮が必要」と強調しています。
FP視点:医療制度の変化が家計設計に与える影響
制度の変更が家計に与える影響は大きく、特に継続的な治療を必要とする家庭では、家計の弾力性や貯蓄計画の見直しが必要です。がん治療のように、突発的かつ継続的な費用が発生する場面では、キャッシュフローの圧迫が顕著になります。
FPの視点では、医療費の変動リスクを考慮に入れたライフプラン設計、万一の出費に備えた資金準備、そして制度変更に関する情報の収集と対応が重要です。また、がん保険による医療費補填も一つの有効な備えです。特に、診断一時金や通院給付金が支給されるタイプの保険は、治療開始初期の経済的ショックを和らげる手段として再評価されています。
さらに、家計全体の見直しやライフイベントに応じた保障の調整も欠かせません。特に子育て中の世帯では、教育資金や生活資金とのバランスをとりながら、医療リスクに対応できる経済基盤の構築が求められます。
まとめ:制度見直しは慎重に、支援体制の強化を
治療を継続しながら子育てする家庭が安心して医療を受けられるようにするには、高額療養費制度の見直しに際して丁寧な検討と現場の声の反映が不可欠です。
FPとしても、こうした政策の動向を注視しながら、家計アドバイスの質を高め、がん保険など民間の保障制度を含めた総合的な備えの提案が求められます。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
がん治療と子育ての両立は、単なる家計の話ではなく、社会全体が支えるべきテーマです。制度改革においては「誰を守るべきか」という視点を持ち、実効性ある支援体制の構築が求められます。
家計と制度の橋渡し役として、FPの役割は今後ますます重要になるでしょう。