

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般
「特別支給の老齢厚生年金って早くもらった方がいいの?」
「60歳から年金がもらえると聞いたけど、デメリットはないの?」
厚生年金に長く加入していた会社員などに対して、原則65歳からの年金とは別に60歳台前半から受給できる制度が「特別支給の老齢厚生年金」です。1961年4月1日以前生まれの方が対象で、2025年度まで段階的に終了予定となっています。
早めに受け取れる魅力がある一方で、働きながら受け取ると年金が減額されるケースがあるなど、注意点も多い制度です。
この記事では、特別 支給 の 老齢 厚生 年金 デメリットについて、制度の特徴と気をつけたいポイント、受給の判断基準をわかりやすく解説します。
特別支給の老齢厚生年金に潜むデメリットと必要性
1.在職中は支給停止(減額)されることがある
働きながら特別支給の老齢厚生年金を受給する場合、一定の収入を超えると「在職老齢年金」の仕組みにより、年金が一部または全額停止される可能性があります。
2.繰上げ受給のように増額メリットはない
通常の老齢基礎年金や老齢厚生年金は、繰上げ・繰下げによって受給額が調整できますが、特別支給の老齢厚生年金は繰上げや繰下げができません。生年月日によって受給開始年齢が決まっています。
3.配偶者の加給年金が受け取れない場合がある
加給年金(家族手当のようなもの)は65歳以降の老齢厚生年金に付くものです。特別支給の期間中は加給年金が受け取れず、受給額が思ったより少なくなることもあります。
4.受給開始を選べず、生年月日で自動的に決まる
「何歳から受給するか」を自分で選べるわけではなく、生年月日に応じて支給開始年齢が決まっています。納得のいくタイミングでの受給調整ができない点に注意が必要です。
特別支給の老齢厚生年金を考えるときの選び方ポイント
後悔しないために押さえておきたい3つのポイント
1.在職中の収入見込みを確認する
在職老齢年金の対象になる場合、収入(給与+年金額)が一定額を超えると年金が減額または停止されます。現在の働き方や収入見通しを確認しましょう。
2.65歳以降の年金額や加給年金の有無も考慮する
65歳以降には老齢基礎年金や加給年金が加わるため、特別支給期間と65歳以降の保障をトータルで考える必要があります。
3.受給停止リスクを踏まえて受給時期を検討する
働き方によっては支給停止される可能性があるため、「受け取れると思っていたのに停止された」という事態を防ぐためにも事前に年金事務所で確認しておきましょう。
特別支給の老齢厚生年金は「早くもらえる=お得」とは限りません。
減額リスクや将来設計をふまえて、慎重に判断しましょう。
よくある質問 Q&A
Q1. 特別支給の老齢厚生年金はすべての人が対象ですか?
A 1961年4月1日以前生まれの方が対象です。生年月日によって支給開始年齢が異なります。
Q2. 在職中でも年金は受け取れますか?
A はい。ただし、給与と年金の合計額が一定基準を超えると、在職老齢年金の仕組みにより支給停止または減額されます。
Q3. 繰下げ受給はできますか?
A できません。特別支給の老齢厚生年金は繰上げ・繰下げができず、生年月日で受給開始年齢が決まっています。
Q4. 加給年金はいつからもらえますか?
A 加給年金は65歳からの老齢厚生年金に付加されるものです。特別支給の期間中は原則として加給年金は支給されません。
Q5. 受給停止されてもあとから満額受け取れるのですか?
A いいえ。停止された期間分があとから受け取れるわけではありません。停止された分は支給されないため注意が必要です。
まとめ
特別支給の老齢厚生年金は、60歳台前半から受け取れる年金として設けられていますが、「早くもらえる=得をする」とは限りません。働きながら受給すると在職老齢年金の仕組みで減額・停止される可能性があり、収入状況次第で実質的に受け取れないケースもあります。
また、繰上げや繰下げによる増減ができないため、生年月日によって開始時期が自動的に決まります。「必要な時に受け取る」という柔軟性がない点もデメリットといえるでしょう。
受給開始前に、在職中の収入見通しや65歳以降の年金額(加給年金の有無も含む)をトータルで確認し、自分にとって最適なタイミングや働き方を考慮することが大切です。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
特別支給の老齢厚生年金は、「早めに受け取れる年金」として大きな魅力を感じる方も多い制度ですが、受給中の働き方や年収によって減額される仕組みがある点に注意が必要です。しっかり制度を理解せずに受給を開始すると、「思っていたよりも少なかった」「ほとんどもらえなかった」という事態になりかねません。
また、老後資金は年金だけでなく、自助努力による資産形成(退職金・iDeCo・NISAなど)とのバランスで考えることが重要です。特別支給を活用するかどうかは、「現在の収入」「今後の働き方」「他の収入源」の3点をふまえて判断しましょう。
判断に迷う場合は、年金事務所での年金見込み額試算や、専門家への相談もおすすめします。制度の仕組みを正しく理解したうえで、後悔のない選択をしましょう。