

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「もしがんになって抗がん剤治療が必要になったら、家計は大丈夫?」と不安を感じている方も多いでしょう。抗がん剤は公的医療保険が適用されますが、治療が複数年続くと毎月の自己負担と収入減少で家計が圧迫されるリスクがあります。
本記事では、抗がん剤治療にかかる費用を具体的な数字でシミュレーションし、がん保険の抗がん剤治療特約が本当に必要かを専門家視点で解説。公的保障との組み合わせで合理的に備える方法をお伝えします。
抗がん剤治療にかかる費用:公的制度でどこまでカバーできる?
抗がん剤治療は公的医療保険が適用され、3割負担で受診できます。しかし薬価が数十万円以上になるケースもあり、高額療養費制度の上限を超える場合もあります。
治療形態 | 3割負担の目安 | 注意点 |
---|---|---|
入院+手術 | 平均20万〜30万円/回 | 差額ベッド代は対象外 |
外来抗がん剤治療 | 1万〜3万円/回 | 薬剤費や検査費含む |
多数回該当(月3回超) | 4万〜5万円/月 | 高額療養費で限度額減額 |
1年間抗がん剤治療を続けると自己負担はいくら?シミュレーション
例えば年収500万円の方が、通院抗がん剤治療を月1回×12カ月受けた場合、下表のような費用負担の見積もりとなります(高額療養費制度適用後の自己負担額ベース)。
期間 | 月額自己負担 | 累計額 |
---|---|---|
1〜3月 | 9万円/月 | 27万円 |
4月以降(多数回適用) | 4.4万円/月 | 39.6万円 |
1年間合計 | 66.6万円 |
上記にはウィッグ代や交通費、差額ベッド代、収入減による影響は含まれておらず、実質的な家計負担はさらに重くなる可能性があります。
がん保険で備えるべき理由とは?加入率と必要性の背景
生命保険文化センターの調査では、がん保険・特約の加入率は約39%。40代では約50%が加入しており多くの人が備えている安心策であることがわかります。
1. 通院保障に対応しているか
近年のがん治療は入院よりも通院が中心です。特に抗がん剤や放射線治療は通院で行われることが多く、通院時の治療費や交通費に対応できる保障があるか確認しましょう。
2. 診断一時金の金額
がんと診断された時に受け取れる診断一時金は、治療開始前の費用や生活費に充てられます。生活スタイルや必要な備えに応じて、50万円〜100万円以上の金額を設定できる商品が安心です。
3. 抗がん剤治療特約の有無と回数制限
抗がん剤治療特約は、治療が続く限り毎月給付金を受け取れるタイプが望ましいです。ただし商品によっては「◯回まで」といった回数制限があるため、長期治療に対応できるか事前に確認しましょう。
4. 先進医療・自由診療特約
分子標的薬や免疫療法など、先進医療や自由診療が適用される場合は全額自己負担となります。先進医療特約や自由診療特約を付加しておくことで、数百万円単位の費用にも備えられます。
5. 保険期間は終身か定期か
終身型は一生涯保障され、保険料も加入時のまま固定されるのが特徴です。定期型は短期的には保険料が安くなりますが、更新時に保険料が上がる可能性があります。ライフプランに合わせて選びましょう。
がん保険を選ぶときの5つのチェックポイント
加入前に以下のポイントを確認して、自分に必要な保障を選びましょう。
1. 通院治療にも対応しているか?
抗がん剤治療やホルモン剤治療などはほとんどが通院中心の治療です。通院保障や薬剤特約があるか確認しましょう。
2. 診断一時金の金額
がんと診断された時に受け取れる診断一時金は、治療初期のまとまった費用や生活費に充てられます。50万円〜100万円以上など、自分や家族の生活状況に合った金額を設定できるか確認しましょう。
3. 薬剤特約の給付条件と回数制限
「抗がん剤(薬剤治療)給付金」は毎月支払われるタイプが主流ですが、上限回数あり/制限なしの商品がありますので確認が必要です。
4. 先進医療・自由診療特約
先進医療や自由診療は全額自己負担となるため、数百万円かかるケースもあります。先進医療特約や自由診療特約を付けることで、経済的負担を大幅に軽減できます。
5. 保険期間は終身か定期か
終身型は一生涯保障が続き、保険料も加入時に固定されます。定期型は短期間であれば保険料が安いですが、更新時に保険料が上昇する可能性があります。将来のライフプランを踏まえて選びましょう。
自由診療や先進医療を受ける場合の備え方
近年は分子標的薬など一部が自由診療となるケースがあり、全額自己負担で数百万円以上かかることもあります。
このような場合には、自由診療特約や先進医療特約があるがん保険を選ぶと安心です。
がん治療に関する公的支援制度まとめ
がん治療では以下の公的制度が利用可能です。民間保険と組み合わせて効果的に備えましょう。
制度名 | 概要 | 対象/ポイント |
---|---|---|
高額療養費制度 | 医療費が一定額以上で自己負担軽減 | 年収・回数による軽減あり |
医療費控除 | 通院交通費・医療費控除可 | 年間医療費÷10万円を控除対象 |
障害年金 | 治療や後遺症で障害認定されると支給 | 1級〜3級に応じて受給可 |
FPに聞く!抗がん剤治療特約付きがん保険の選び方と注意点
抗がん剤治療の長期化や費用負担を懸念する読者からの質問に、FPが実務経験を踏まえて答えます。

34歳・女性
抗がん剤治療特約は、どんな人に特におすすめですか?
スマホdeほけん
長期にわたる通院治療が想定される方や、がん家系で治療費の備えを重視したい方におすすめです。特に働き盛りで収入減の影響が大きい方は、生活費補填の観点からも有効です。


34歳・女性
特約を付ける際に注意すべきことは何ですか?
スマホdeほけん
給付条件と回数制限の有無を必ず確認しましょう。制限があると長期治療の途中で給付が止まる可能性があります。また、自由診療が対象外の場合もあるため要チェックです。


34歳・女性
診断一時金と抗がん剤治療特約、どちらを優先すべきでしょうか?
スマホdeほけん
理想は併用です。診断一時金で初期費用や生活費をカバーし、特約で毎月の治療費を補うことで、治療を中断せずに続けられる環境を整えられます。

よくある質問(Q&A)
Q1. 抗がん剤治療特約は本当に必要ですか?
A. 長期治療や通院が続く場合、月ごとの薬剤費や検査費をカバーできるため、診断一時金だけより柔軟な対応が可能です。
Q2. ウィッグ代や交通費は保障対象になりますか?
A. 多くのがん保険では対象外ですが、医療費控除の対象になり得ます。
Q3. 自由診療でも給付されますか?
A. 特約が付いていれば可能ですが、対象範囲や上限は商品によります。
Q4. 診断一時金と薬剤特約、どちらを重視すべき?
A. 診断一時金で収入減や生活費をカバーしつつ、特約で実際の医療費を補う組み合わせが理想的です。
Q5. 若いうちに入っておくメリットは?
A. 保険料が抑えられ、健康なうちに保障を確保できるため、告知制限が少ないうちの加入が望ましいです。
まとめ:がん治療は治療と家計を同時に守る備えを
抗がん剤治療は公的医療制度で自己負担を抑えられるものの、通院治療が続くと治療費や検査費だけで年間60万円以上に達することもあります。さらに生活費の負担や収入減少も加わることで、現金だけでは対応が難しくなります。
がん保険の診断一時金と抗がん剤治療特約を組み合わせておけば、治療費+生活費+収入減少のトリプルリスクに備えることができます。
がん治療に関する公的外部リンク
機関名 | 概要 |
---|---|
厚生労働省 | がん治療費・高額療養費制度・先進医療に関する情報 |
国立がん研究センター | 抗がん剤治療・最新のがん治療法や統計データを掲載 |
がん情報サービス | 治療法・費用・相談窓口など患者向け情報を提供 |
協会けんぽ | 高額療養費制度・傷病手当金などの公的保障案内 |
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
がん治療の進歩により治療期間が長期化する傾向にありますが、それに伴い医療費も増加しています。抗がん剤だけではなく、通院や仕事の調整による収入減まで含めた保障設計を考えることが重要です。
診断一時金+薬剤特約+先進医療特約をバランスよく付加し、公的制度と組み合わせて賢く備えておきましょう。