老齢年金は65歳と70歳どっちが得?損益分岐点・在職老齢年金・加給年金をプロが徹底解説

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

保有資格

AFP・2級FP技能士

専門分野・得意分野

生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

「65歳から受給」か「70歳まで繰下げ」かで悩むのは当然です。年金は老後資金と家計の土台であり、健康状態や就労、資産の有無で最適解が変わります。

本記事はFP視点で、増額率や損益分岐点、在職老齢年金・加給年金・遺族年金の注意点まで体系化。迷わない判断フローと現実的な選び方を示します。

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結論先出し:迷わない判断フローとクリック要点

最初に「生活の安定」と「将来の厚み」のどちらを優先するかを決めましょう。次に、就労計画と家計の耐性をチェックすると結論が早まります。

以下のフローを順に確認し、各項目の詳細h3で要点を押さえてください。

1. 増額率と損益分岐点の把握

繰下げは1か月0.7%増で、70歳なら65歳比+42%。元を取る目安はおおむね81〜82歳前後です。

金額だけでなく、生活設計上の安心度と併せて評価しましょう。

2. 在職老齢年金の支給停止ライン

65歳以降は「総報酬月額相当額+年金月額」が一定額を超えると支給停止対象です。

継続就労の見込みがあれば、繰下げや就労調整を含めて最適化します。

3. 加給年金・遺族年金の影響

加給年金は繰下げで増えず、受給しそびれると損になり得ます。

遺族年金は繰下げ増額を引き継がない点にも注意が必要です。

4. 家計のつなぎ資金(5年)の有無

繰下げは65〜70歳の無年金期間を乗り切る「現金クッション」が前提です。

予備費・医療介護費も見込み、家計が耐えられるか検証しましょう。

5. 健康・寿命リスクと家族の意向

平均寿命に届く見込み、家族の介護体制や就労意向まで含めて意思決定します。

本人と家族の納得感が後悔回避の最大の材料です。

注意ポイント

「損得」だけでなく、現金収入のタイミングを家計と照合。老後資金・家計の現実に沿った決定が結果的に最も得になります。

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年金シミュレーションと損益分岐点|数字で見る“得と安心”

繰下げで金額が増える一方、受給開始を遅らせるリスクもあります。金額と年齢の関係を具体化して、腹落ちする判断材料に変えましょう。

下表は65歳・70歳の特徴比較です。取り崩し計画と併せて評価してください。

特徴 メリット 注意点
65歳受給 早期に安定収入を確保 将来の増額余地はない
70歳繰下げ 月額が大幅増(+42%目安) 無年金期間の資金繰りが必要
在職老齢年金 働きながら受給可 基準超過で支給停止の恐れ

65歳受給が向く人|いますぐ家計安定を最優先

「年金=生活の柱」という方は、早期受給が現実解です。貯蓄が少ない、完全リタイア予定、健康不安があるケースでは特に合理的です。

将来の増額より今のキャッシュフローを重視し、固定費最適化と併走しましょう。

70歳受給が向く人|将来の厚みと長寿リスクへの備え

継続就労や十分な資産があり、無年金期間を乗り切れる人は有力候補です。

医療・介護費の増加期に備え、月額を厚くして老後後半の安心を確保します。

制度の落とし穴4選|在職老齢・加給・遺族・変更不可を総点検

制度は複雑で、知らないと損に直結する項目が多いのが実情です。要点を押さえ、判断前に必ずチェックしましょう。

下のチェックリストから該当項目を開き、詳細説明で確認してください。

1. 在職老齢年金の支給停止ライン

収入と年金の合計が基準を超えると停止対象。就労計画と合わせて受給時期を最適化しましょう。

繰下げで停止回避も一案ですが、総合試算が前提です。

2. 加給年金の受給可否と額

加給は繰下げで増えず、受け損ねは実害になります。対象条件と年額を要確認。

家族構成や配偶者の加入歴も判定に影響します。

3. 遺族年金と繰下げの関係

遺族年金は繰下げ増額を引き継ぎません。未支給年金にも増額分は反映されません。

家族の保障設計も含めて全体最適で判断します。

4. 受給開始後は原則変更不可

請求で年金額は固定されます。開始後の増額余地は限定的です。

迷いがあるなら開始前に総合シミュレーションを。

5. 特例的な繰下げみなし増額

65歳からの受給相当分を一括受取できる選択肢もあります。

税・保険料負担が増える場合があるため、事前検討が必須です。

ワンポイント

制度は改定が続きます。判断直前に最新要件を再確認し、必要なら専門家にダブルチェックを依頼しましょう。

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家計・資産・保険で変わる最適解|つなぎ資金と運用の視点

繰下げを選ぶなら、65〜70歳の生活費・医療費・予備費を含む「5年分の資金設計」が鍵です。

運用は長期・分散・低コストを基本に、家計余力で着実に積み上げましょう。変額保険は長期の資産形成に活用余地がある一方、価格変動・途中解約の不利を理解した上で比率は慎重に。

FPに聞く!年金受給開始のリアルな疑問

読者代表の視点で、傷病手当金や家計、就業不能保険との関係も交えてFPが回答します。

34歳・女性

65歳と70歳のどちらが「総額で」得ですか?

スマホdeほけん

一般に70歳繰下げは総額有利になりやすいですが、損益分岐は81〜82歳前後です。長生きの見込みと家計の耐性で判断してください。

34歳・女性

在職老齢年金の支給停止が不安です。受給を遅らせるべき?

スマホdeほけん

就労収入が高いなら繰下げも選択肢です。ただし停止回避だけで決めず、税・社会保険料を含む手取りで比較しましょう。

34歳・女性

繰下げ期間の生活費はどう確保すれば?

スマホdeほけん

5年の生活費+医療介護の予備費を現金で確保。投資は無理をせず、取り崩し順序も家計と整合させます。

34歳・女性

配偶者が加給年金の対象かも。繰下げは不利ですか?

スマホdeほけん

加給は増えないため、受給しそびれると不利です。家族構成と年額を確認し、加給優先の方が得な例は多いです。

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よくある質問(Q&A)

Q&A

制度の全体像と家計の現実を結びつけて判断しましょう。各回答は2文以上で注意点も併記します。

迷いが残る場合は、家計と老後資金をまとめてFPに相談するのが近道です。

Q1. 65歳受給と70歳繰下げ、どちらが家計に優しい?

A. 現金収入を早く確保したい家計には65歳受給が適します。無年金期間に耐えられる資産や就労収入があるなら繰下げも有効です。

A. 取り崩し・税・社会保険料を含めた「手取りベース」で比較しましょう。

Q2. 在職老齢年金の支給停止は避けられますか?

A. 受給開始を遅らせる、勤務日数や賞与の調整などで回避可能です。ただし生涯手取りで不利になる場合もあります。

A. 受給戦略と就労計画はセットで、年1回の見直しを推奨します。

Q3. 加給年金対象だと繰下げは損ですか?

A. 場合によりますが、加給は繰下げで増えないため、受給しそびれが不利になりやすいです。年額と期間をまず算定してください。

A. 家族構成の変化も影響するため、複数ケースで試算しましょう。

Q4. 繰下げ中に死亡したら増額分は遺族に残りますか?

A. 残りません。遺族年金は繰下げ前の基準額で計算され、未支給年金にも増額分は反映されません。

A. 家族の保障設計(遺族年金・民間保険)を事前に整えておきましょう。

Q5. 途中で方針変更はできますか?

A. 受給開始後の変更は原則不可です。繰下げ待機の打ち切りは可能ですが、税や保険料に留意が必要です。

A. 迷いがあるなら開始前に総合シミュレーションと専門家相談を行いましょう。

まとめ:老齢年金は「家計×健康×制度」で最適化する

繰下げは+42%で魅力ですが、家計のつなぎ資金と健康リスクを無視すると破綻します。65歳受給は今の家計安定、70歳受給は老後後半の厚みが強みです。

在職老齢・加給・遺族の制度要件を確認し、家族の同意と数値根拠で決めましょう。迷うときは第三者のFPに検証を依頼するのが近道です。

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公的外部リンク|最新要件は公式で最終確認

リンク 概要
老齢年金の繰下げ受給(日本年金機構) 繰下げの増額率(1か月0.7%)・請求方法・注意点
在職老齢年金(日本年金機構) 支給停止の基準額・計算方法・就労との関係
加給年金額・振替加算(日本年金機構) 対象要件・年額・受給開始タイミングの注意点
遺族年金(日本年金機構) 遺族基礎年金・遺族厚生年金の仕組みと請求
ねんきんネット(日本年金機構) 将来の年金見込額試算・記録確認・繰下げの試算
老齢基礎年金・老齢厚生年金の概要(日本年金機構) 受給資格期間・支給開始時期・請求手続の基本
公的年金制度の概要(厚生労働省) 制度全体の仕組み・最新の制度改正情報
公的年金等の課税(国税庁タックスアンサー) 年金の課税関係・確定申告の要否・控除
在職定時改定・在職老齢年金の見直し(厚生労働省) 在職中の年金改定や支給停止基準の見直しポイント
年金の請求手続(日本年金機構) 請求時の必要書類・提出先・手続フロー
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監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

年金の開始時期は金額の多寡だけでなく、家計のキャッシュフロー、就労の見込み、健康リスク、制度要件を同時に満たす解を探す作業です。損益分岐を理解しつつ、在職老齢年金や加給・遺族年金の制約を織り込み、つなぎ資金の有無で繰下げの可否を判定しましょう。投資や保険は老後資金の補助線として活用し、目的別口座と定期見直しで運用と生活を切り分けるのが実務的です。相談前提の設計こそ、後悔のない選択につながります。