

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「もしものときに家計や老後資金を支えるための生命保険が、自殺だと支給されないのでは?」と心配な方は多いでしょう。
本記事では、法律や保険約款に基づき、自殺が原因でも死亡保険金が支払われるケースをプロが解説します。契約内容や家計への影響を踏まえ、正しい知識を持つ価値と安心感を提供します。
1. 自殺でも保険金が支払われない「基本ルール」とは?
まずは、生命保険制度の基本である「自殺は免責事由である」というルールを確認しましょう。
保険法第51条には、「被保険者が自殺したときは保険者は死亡保険金を支払う責任を負わない」と明記されています。これは、保険金目的の自殺を防ぐための重要な規定です。
2. それでも支払われる場合もある?免責期間経過後の支払い可能性
多くの保険会社では、契約から1〜3年の「自殺免責期間(待機期間)」を設けています。
この期間を過ぎた自殺であれば、原則として保険金が支払われるとされています。最高裁判例でも、免責期間経過後は保険金取得を主目的としない限り、支払いが認められるとの判断が示されています。
3. 精神疾患による自殺も例外あり?判断能力の喪失がカギ
免責期間中でも、精神疾患などによって自由な意思判断ができない状態での自殺であれば、保険金が支払われることがあります。
この場合、請求者側に「自由な意思判断がなかったこと」の立証責任があります。裁判例や判例では、症状の記録や通院歴、医師の診断などが重要な証拠となります。
注意ポイント
免責期間中の自殺でも、精神疾患の影響による意思判断の喪失が証明されれば、支払い対象となる可能性があります。
4. 支払いが拒否される可能性が高いケースとは?
支払いされない主なケースも確認しておきましょう。
以下の場合には、保険金支払いのリスクが高まります:
1. 契約から一定期間(免責期間)内に自殺した場合
免責期間中(一般的に1~3年)に自殺した場合、基本的に保険会社は支払い義務を負いません。
ただし、精神疾患による意思判断能力の喪失等がある場合は例外となることがあります。
2. 保険金目的と判断される計画的自殺
契約直後の大幅な増額・多重契約など、保険金目当てと見なされる行為があった場合は非支払いの可能性が高まります。
最高裁判例でも、「犯罪行為が介在せず、公序良俗に反しない限り支払い対象となる」とされているため、行動の不自然さが問題となることがあります。
3. 告知義務違反があった場合
加入時の告知義務に違反していた場合、約款により契約が解除され、保険金が支払われないケースがあります。
たとえ免責期間経過後でも、告知違反が原因で死亡した場合は支払い対象外となる可能性があります。
4. 犯罪行為や公序良俗に反する事情がある場合
自殺に至る過程で犯罪行為や不公平、不適切な状況が関与している場合、保険金が支払われないことがあります。
これもまた、公序良俗に照らした判断として重要なポイントです。
5. 自殺時に保険金請求をする際の実務ポイント
実際に請求する場合は、以下の対応を心がけましょう。
必要書類(死亡診断書など)、約款の免責期間、復活や増額時の扱い、時効(原則3年)などを把握し、争点を整理することが重要です。審査や請求に時間を要するケースもあるため、迅速な対応が推奨されます。
請求の要点
請求には「約款の免責期間」「精神状態の証拠」「告知義務違反の有無」の確認が不可欠です。
6. 自殺による影響と家族への備え—相談窓口の利用を
自殺によって残された家族が受ける精神的・家計的負担は計り知れません。
迷わず、公的機関やFP、弁護士などに相談することは、家計と資産形成の観点からも大変重要です。制度や支援を活かし、一人で抱え込まない支援体制の確保をおすすめします。
FPに聞く!自殺と生命保険のリアルな関係とは?
実際の相談現場で寄せられる声をもとに、生命保険に詳しいFPがわかりやすく解説します。

34歳・女性
契約直後に自殺してしまった場合、やはり保険金は支払われないのでしょうか?
スマホdeほけん
はい、多くの保険会社では免責期間が設けられており、契約から1〜3年以内の自殺は保険金支払対象外となります。


34歳・女性
では、免責期間を過ぎていれば、必ず支払われるのですか?
スマホdeほけん
原則支払われますが、保険金目的の自殺や不自然な契約変更があると支払いが拒否されることもあります。


34歳・女性
精神疾患で判断力がない状態だった場合はどうなりますか?
スマホdeほけん
その場合は、意思能力が欠けていた証拠を示すことで、免責期間中でも保険金が支払われる可能性があります。


34歳・女性
支払いを請求する際、何を準備しておくべきですか?
スマホdeほけん
診断書や通院記録、契約約款などが重要です。精神状態の証明や、契約時の状況も整理しておくとスムーズです。


34歳・女性
精神的に苦しいとき、どこに相談すれば良いでしょうか?
スマホdeほけん
まずは公的な支援機関を活用しましょう。自殺対策の相談窓口では、誰でも無料で相談できます。

Q&A:自殺と生命保険のよくある疑問
Q1. 自殺でも生命保険金が支払われることはありますか?
A. はい、免責期間が経過していれば支払われる可能性があります。ただし、契約内容や自殺の背景など、個別の状況により異なります。
Q2. 免責期間とは何ですか?
A. 免責期間とは、契約から一定期間(通常1〜3年)自殺による保険金が支払われない条件のことです。この期間を過ぎれば、原則として支払い対象になります。
Q3. 精神疾患で判断力を失った状態での自殺はどうなりますか?
A. 医師の診断などで意思能力の欠如が証明されれば、免責期間内でも支払われる可能性があります。裁判でも認められた事例があります。
Q4. 保険金目的と判断される自殺ではどうなりますか?
A. 保険金を狙った計画的な自殺とみなされると、免責期間外でも支払われないことがあります。契約内容や増額履歴が審査の対象になります。
Q5. 自殺が疑われる場合、保険金の審査はどうなりますか?
A. 死因や背景を詳しく調査されます。精神疾患や経済的背景の証拠が求められる場合が多く、支払いまでに時間がかかることもあります。
まとめ
自殺による死亡でも、一定の条件を満たせば保険金が支払われる可能性があります。判断の要点は次の3つです。
・免責期間を過ぎているかどうか
・保険金目的ではなく、意思能力を伴った状況かどうか
・告知義務違反や不自然な契約変更がないか
2025年9月時点でも、自殺に関する保険金の可否は「契約内容」「精神状態」「具体的事情」に左右されます。不安がある場合は、専門家や相談窓口を活用し、家計と老後資金の安心につながる選択をしていきましょう。
公的制度・公式リンク集
自殺対策や生命保険制度に関する正確な情報は、公的機関の公式サイトから確認することをおすすめします。
サイト名 | 内容 |
---|---|
厚生労働省 | 自殺対策支援と精神保健の情報 |
生命保険文化センター | 生命保険の基礎知識・制度解説 |
法テラス | 法的トラブル・多重債務の無料相談 |
日本FP協会 | 家計や保険に関するFP相談 |
こころの健康相談統一ダイヤル | 悩み相談窓口(全国対応) |
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
本記事では、家計や老後資金の観点から「自殺による生命保険の支払いの可否」について整理しました。
保険契約には、免責期間や告知義務、精神状態に関する重要な条件があります。「自殺だから必ず支払われない」と考えるのではなく、契約内容と状況を正確に把握し、必要に応じてFPや弁護士とともに確認することが大切です。