高額療養費制度とは?わかりやすく解説|医療費負担を軽減する公的制度

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

保有資格

AFP・2級FP技能士

専門分野・得意分野

生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

医療費が高額になった場合、家計への負担が重くのしかかることがあります。入院や手術、がん治療などでは、たとえ健康保険が適用されても数十万円単位の支払いが発生するケースも少なくありません。こうした出費は、多くの人にとって想定外の負担です。

そんな時に頼れる制度が「高額療養費制度」です。これは公的医療保険制度のひとつで、一定の金額以上の医療費がかかった場合に、その超過分をあとから払い戻してくれる仕組みです。

本記事では、制度の仕組みや申請方法、注意点をわかりやすく解説し、民間の医療保険との併用メリットについてもご紹介します。高額な医療費への不安を軽減したい方は、ぜひ最後までお読みください。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度とは、1ヶ月の医療費が自己負担限度額を超えた場合に、その超過分を払い戻してくれる国の制度です。全国健康保険協会(協会けんぽ)や各市区町村の国民健康保険、組合健保などに加入している人が対象となります。

この制度は、誰もが公平に医療を受けられるようにするための仕組みであり、医療費がかさみやすい入院や手術、放射線治療、抗がん剤などを受けた場合に非常に重要な役割を果たします。

限度額は年齢や所得によって異なり、70歳以上・未満で大きく分かれます。たとえば年収370万円以下の方であれば、月の医療費の自己負担は57,600円が上限となり、それを超える分は返ってきます。

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自己負担限度額の目安

所得区分 70歳未満
年収約370万円以下 57,600円
年収約370~770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1%
年収約770万円以上 167,400円+(医療費-558,000円)×1%

この自己負担限度額を超えた金額は、後日申請により払い戻されます。ただし、支払い時点ではいったん全額を自己負担する必要があるため、経済的な備えも重要です。

1. 医療費の支払い

まずは病院で通常通りの医療費を支払います。たとえ高額であっても、最初は自己負担しなければなりません。クレジットカードや医療ローンを利用する方も多いため、事前に準備しておくと安心です。

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2. 自己負担限度額の確認

自身の年齢・所得に応じた限度額を確認しましょう。保険証に記載の保険者や、厚生労働省のサイト、または勤務先の総務担当に確認するのが確実です。

なお、入院前に「限度額適用認定証」を取得しておけば、窓口支払いをあらかじめ軽減できます。取得には保険者への申請が必要です。

3. 申請書の提出

高額療養費の払い戻しには、医療機関の領収書、申請書、振込先の口座情報などが必要です。必要書類は保険者ごとに異なることがあるため、事前に確認しておくとスムーズです。

郵送対応も可能ですが、書類に不備があると再提出を求められる場合もあります。

4. 払い戻しの受取

申請から1〜2か月程度で、指定口座に上限を超えた分が返金されます。処理の混雑や保険者の事務処理の都合で、まれに時間がかかるケースもあるため、経過の確認も重要です。

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5. 医療保険との併用

民間の医療保険と併用することで、さらに自己負担を軽減できます。たとえば入院1日◯千円の給付金や、実費補償型の医療保険があれば、生活費の補填にもなります。

高額療養費制度では補償できない差額ベッド代や先進医療費などにも対応できるため、ダブルで備えるのがおすすめです。

注意ポイント

申請には領収書の原本が必要です。紛失しないよう保管しましょう。また、申請には期限があり、原則として診療月の翌月から2年間以内です。期限を過ぎると無効になるので要注意です。

高額療養費制度に関するよくある誤解

高額療養費制度については、制度を正しく理解できていないがゆえに損をしてしまうケースも少なくありません。ここでは代表的な誤解をいくつかご紹介します。

「収入が低いと使えない」という誤解

実際は逆です。収入が低いほど、自己負担限度額も低く設定されているため、制度の恩恵は大きくなります。

「1回だけの入院では対象外になる」

1回だけの医療費でも、月内の自己負担が限度額を超えれば対象になります。短期間の手術や高額な検査でも、対象となる可能性があります。

「会社員だけが使える制度」

この制度はすべての公的医療保険加入者に適用されます。パートタイマーや自営業の方、専業主婦(夫)など、扶養に入っている方でも条件を満たせば利用可能です。

活用事例で理解する!高額療養費制度のシミュレーション

実際に制度を使った場合にどれくらいの負担軽減が見込めるのか、シミュレーションを3パターンご紹介します。

ケース1:年収300万円、入院費用が月10万円

この場合、自己負担限度額は57,600円なので、超過分の42,400円が払い戻されます。負担が約40%軽減される計算です。

ケース2:年収600万円、手術と7日間の入院で医療費30万円

限度額は80,100円+(医療費-267,000円)×1% = 約82,400円。したがって約217,600円が戻ってきます。高所得者でも効果的です。

ケース3:専業主婦、扶養内での入院治療(15万円)

扶養家族であっても制度は使えます。この場合も57,600円を超えた部分が対象となり、実費の負担が大幅に軽減されます。

よくある質問(Q&A)

Q1. 高額療養費制度は自動的に適用されますか?

A 自動的には適用されません。原則として自分で申請が必要です。ただし、限度額適用認定証を事前に取得している場合は、その時点で自己負担額が軽減される仕組みもあります。

Q2. 入院と外来で制度の扱いは変わりますか?

A はい、異なります。入院費用は1回の入院につき1件としてカウントされますが、外来は1つの医療機関ごとに1件と扱われ、合算の対象外になる場合があります。

Q3. 申請してから払い戻されるまでの期間はどれくらい?

A 通常、申請から1〜2か月程度で指定口座に振り込まれます。ただし、保険者の処理状況によって異なるため、余裕を持って手続きしましょう。

Q4. 同じ月に複数の病院を利用した場合はどうなりますか?

A 同一保険者内での医療費は合算されます。ただし、医科と歯科、入院と外来などで扱いが分かれるケースもありますので、加入している保険組合に確認するのが確実です。

Q5. 医療保険と併用した場合、給付金は減額されますか?

A 高額療養費制度は公的制度であり、民間の医療保険の給付金に影響を与えることは基本的にありません。ただし、保険の契約内容によっては給付条件があるため、事前に確認しましょう。

まとめ

高額療養費制度は、医療費負担を軽減する重要な制度です。がんや心臓病、脳卒中といった重篤な病気だけでなく、慢性疾患や緊急入院時にも活用できます。

また、家族の医療費が高額になった場合にも適用できるため、世帯単位での家計支援にもつながります。民間の医療保険と併用することで、予想外の出費に対しても余裕を持った対応ができるようになります。

制度の正しい理解と早めの備えが、将来の安心につながります。

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監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

高額療養費制度は公的な医療保障の柱ですが、カバーできる金額には限界があります。長期入院や高額治療を見据えた民間医療保険との併用が、リスク管理においては非常に有効です。

経済的な不安を軽減し、安心して治療に専念するためにも、制度と保険の併用を検討してみましょう。

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