

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
突然の病気やケガで高額な医療費がかかると、家計への影響は深刻です。
そんなときに使えるのが医療費の貸付制度。特に高額療養費制度の「事前貸付」など、公的な支援制度を知っておくことは非常に重要です。この記事では、利用できる貸付制度の種類と活用方法を解説します。
医療費の貸付制度とは?公的支援で一時的な負担を軽減
医療費の貸付制度とは、自己負担が高額になる医療に対して、支払いを一時的にサポートしてくれる制度です。
代表的なものに、健康保険組合や協会けんぽが行う「高額療養費貸付制度」があります。
この制度では、年収に応じて1ヶ月の医療費自己負担の上限が決められています。以下の図は、所得区分ごとの上限額をまとめたものです。
年収が低いほど自己負担上限は低く設定されており、制度的な配慮がなされています。
代表的な医療費貸付制度の種類と概要
医療費の貸付には複数の制度があります。いずれも「事前に申請」または「一定の条件」を満たすことで利用可能です。
以下に主な制度をまとめました。
制度名 | 内容 | 申請先 |
---|---|---|
高額療養費貸付制度 | 高額療養費の支給見込み額の8〜9割を貸付 | 協会けんぽ・健保組合 |
出産費用貸付制度 | 出産育児一時金の支給前に貸付 | 健康保険協会など |
生活福祉資金貸付(医療費) | 低所得者向けに医療費支援 | 市町村の社会福祉協議会 |
緊急小口資金 | 急病時などに最大10万円を無利子貸付 | 市町村の社会福祉協議会 |
こんな時に使える!医療費貸付制度の具体的な活用例
「退院時の支払いが間に合わない」「高額治療の自己負担分が用意できない」など、医療費貸付制度はさまざまな場面で活用できます。
以下のようなケースが典型的な活用シーンです。
1. 高額療養費の事前支払いに困った
高額療養費制度は支給まで1〜2ヶ月かかるため、その間の資金繰りをカバーできます。
協会けんぽなどが8割前後を貸付する制度です。
2. 出産費用が手元になかった
出産育児一時金の支給前に、同額を先に受け取る制度があります。
妊娠後期に申請すれば、退院時の支払いにも間に合います。
注意ポイント
貸付制度はあくまで「立て替え」であり、返済義務があります。返済スケジュールも確認しておきましょう。
3. 急病やケガで医療費が膨らんだ
突然の入院や手術で医療費が想定より多くなると、家計が一時的にひっ迫します。
貸付制度を利用することで、貯金の取り崩しを最小限に抑えることができます。
4. 入院が長引き、貯金が尽きた
長期入院では、医療費だけでなく生活費の確保も必要です。
生活福祉資金制度など、複数の支援策を併用できるケースもあります。
5. 低所得で医療費を工面できない
生活保護を受けていなくても、条件次第で貸付が可能な制度があります。
市区町村の福祉課での相談が第一歩です。
医療保険との違いと併用のポイント
貸付制度は「返すお金」であり、医療保険は「もらえるお金」です。
特に差額ベッド代や収入減への対応は、貸付ではカバーできません。
保険との違いを整理すると?
・貸付制度:自己負担を一時的に補う/あとで返済
・医療保険:給付金として受け取れる/返済不要
・就業不能保険:長期の働けない期間の収入減を補う
Q&A|医療費貸付制度のよくある疑問
Q1. 高額療養費貸付制度は誰でも使えますか?
A. 健康保険に加入しており、高額療養費の支給見込みがある方は原則利用可能です。
Q2. 無利子ですか?
A. はい、協会けんぽや健保組合の貸付制度は基本的に無利子です。
Q3. 保険と併用できますか?
A. もちろん可能です。貸付で支払いを乗り切り、保険の給付金で返済する流れもあります。
Q4. 医療費貸付制度の申請はどうする?
A. 各制度の窓口(健康保険組合、市町村福祉課など)に相談し、所定の申請書類を提出します。
Q5. 緊急時にすぐ借りられますか?
A. 制度によりますが、緊急小口資金は申請から数日で入金される場合もあります。
まとめ|医療費貸付制度は公的支援の重要な選択肢
高額な医療費に直面したとき、公的な貸付制度は一時的な支えになります。
ただし返済が前提のため、医療保険や就業不能保険と併せた「二段構えの備え」が家計防衛のカギです。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
医療費の貸付制度は、家計を一時的に支える非常に重要な仕組みですが、制度ごとの条件や限界も把握しておく必要があります。
貸付だけに頼らず、医療保険・就業不能保険を活用することで、より安心できる備えが整います。早めの情報収集と準備が家計リスクを最小限に抑える第一歩です。