

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
がん治療が必要になったとき、費用面の不安は大きな問題です。
高額療養費制度をはじめとした公的支援制度を正しく知ることで、家計への負担を最小限に抑えることができます。本記事では、制度の仕組みや自己負担の上限、申請方法、活用のポイントまでFPがわかりやすく解説します。
高額療養費制度の基本的な仕組み
高額療養費制度は、1か月間に公的医療保険適用分の自己負担が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。年齢・所得に応じて限度額が設けられています。
1. 自己負担限度額(年齢・所得別)
69歳以下では所得区分に応じ、例えば「一般(年収370万〜770万)」は「約80,100円+(医療費−267,000円)×1%」が上限となります。
70歳以上では、外来と入院の区分が細かく設定され、「一般」の場合、外来は個人単位で18,000円、入院含み世帯単位で57,600円となります。
2. 世帯合算と対象要件
69歳以下の場合、自己負担が21,000円以上の複数の受診分は世帯で合算可能です。
70歳以上は金額の制限なく全額合算できます。
3. 多数回該当による負担軽減
同一世帯で過去12か月に3回以上、高額療養費が支給されていると、4回目以降の負担上限がさらに引き下げられます(多数回該当)。
この仕組みにより、慢性疾患や長期治療にも対応しやすくなります。
4. 支給対象外の費用
入院時の食事代・居住費・差額ベッド代・先進医療などは、制度の対象外です。
事前に対象となる費用・ならない費用を確認することが重要です。
5. 申請方法と期限
マイナンバーカードを健康保険証として利用していれば、限度額適用認定証なしで差額軽減可能です。
申請の期限は、診療を受けた月の翌月初日から2年以内で、支給までに3か月程度要する場合もあります。
高額療養費制度の要点
制度を知っていれば、自己負担を大幅に軽減できます。特に多数回該当・世帯合算・事前認定を活用することが鍵です。
がん治療費が高額になるケースとは
がん治療費が大きく膨らむのは、先進医療や長期入院、抗がん剤の継続使用などが原因です。
これらのケースでは、公的保険の範囲を超えた費用がかかり、家計に与える影響も大きくなります。
医療費控除で税金を軽減する方法
医療費控除を活用することで、治療費の一部を税金面で還元することが可能です。
確定申告での申請が必要となるため、年間の医療費が多い方は早めの準備が大切です。
傷病手当金の併用も検討しよう
会社員の場合、長期療養で仕事ができないときは傷病手当金を活用できます。
所得の約3分の2が補償されるため、治療に専念する体制を整える一助になります。
民間保険でカバーできる部分とは
がん保険や医療保険に加入していれば、先進医療費や差額ベッド代など公的制度でカバーできない費用にも備えられます。
家計への影響を最小限にするには、制度と民間保険を組み合わせることが重要です。
FPに聞く!傷病手当金に関するリアルな疑問
長期療養やがん治療で働けないとき、生活費や家計を守る制度として傷病手当金があります。ここでは、よくある疑問をFPに質問しました。

34歳・女性
傷病手当金はいくらもらえるのですか?
スマホdeほけん
支給額は標準報酬月額の約3分の2です。たとえば月収30万円なら日額は約6,700円で、給与の手取り額より少なくなります。


34歳・女性
どのくらいの期間もらえるのでしょうか?
スマホdeほけん
最長で通算1年6か月間です。途中で復職しても、その期間に含まれる点は押さえておきましょう。


34歳・女性
退職後でも傷病手当金は受給できますか?
スマホdeほけん
条件を満たせば可能です。退職日の翌日も就業不能であることが大切な要件となります。


34歳・女性
傷病手当金だけで生活費は足りますか?
スマホdeほけん
実際には不足するケースが多いです。そのため就業不能保険をあわせて備える方も増えています。


34歳・女性
申請手続きで注意すべき点はありますか?
スマホdeほけん
医師と勤務先の証明が毎月必要です。提出が遅れると支給も遅れるため、余裕を持って準備することが重要です。

Q&A:さらに整理して回答
Q1. 高額療養費制度とは?
A. 1か月で医療費の自己負担が一定額を超えた場合、超過分が払い戻される制度です。
Q2. いくら以上から使える?
A. 世帯・年齢・所得で異なりますが、多くの人は「約80,100円+(医療費-267,000円)×1%」などが目安です。
Q3. 世帯合算はどう利用できる?
A. 同一保険加入の世帯なら、複数の受診分を合算して限度額超過分の請求が可能です。
Q4. 多数回該当とは?
A. 過去12か月に3回以上利用すると、4回目以降の自己負担上限が引き下げられます。
Q5. 対象外の費用は?
A. 食事代・差額ベッド代・先進医療などは対象外になります。
公的制度・公式リンク集
制度に関する正しい情報は、必ず公的機関やFP相談で確認しましょう。
サイト名 | 内容 |
---|---|
厚生労働省 | 自己負担限度額一覧・世帯合算・多数回該当の仕組み |
全国健康保険協会 | 制度の概要と多用利用時の対応 |
日本FP協会 | 医療費に関するFP相談 |
法テラス | 医療費トラブル時の法律相談 |
まとめ
高額療養費制度を活用することで、医療費負担を大きく軽減できる可能性があります。
制度だけに頼らず、傷病手当金や医療費控除なども併用し、民間保険と組み合わせて備えることが安心のカギです。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
高額療養費制度は、医療費がかさむ世帯にとって大きな支えになります。
特に複数回該当や世帯合算を活用すれば、さらに負担軽減が可能です。加入する保険者や制度の内容について、FPや加入先に早めに確認することをおすすめします。