【高額療養費制度とマイナンバーカード】制度の活用法と医療保険との関係をFPが解説

高額療養費制度とマイナンバーカード

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

保有資格

AFP・2級FP技能士

専門分野・得意分野

生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。

医療費が高額になった際に家計の負担を軽減してくれる「高額療養費制度」。この制度は、公的医療保険の中でも非常に重要な役割を担っています。2021年以降、マイナンバーカードの保険証利用が本格的に始まり、手続きの簡素化と迅速化が進んでいます。

入院や手術、がん治療などでは、健康保険が適用されても数十万円の自己負担が発生することがあり、多くの人にとって大きな経済的負担となります。突然の高額医療費に戸惑わないためにも、制度の正しい理解と事前の準備が必要です。

本記事では、高額療養費制度の概要とマイナンバーカードの利用によるメリット、そして制度だけではカバーしきれない医療費に備える医療保険の役割について詳しく解説します。

高額療養費制度とは?

高額療養費制度は、1カ月あたりの医療費が一定額(自己負担限度額)を超えた場合に、超過分が払い戻される制度です。限度額は年齢や所得によって異なり、例えば70歳未満で年収370万円~770万円の場合、月額約80,100円+(総医療費-267,000円)×1%が上限となります。

自己負担の大幅な軽減が可能なため、長期入院や高額な治療が必要な場合にとても心強い制度です。特にがん治療や手術後の入院などでは、総医療費が100万円を超えるケースも多く、制度を利用すれば自己負担が数万円程度に抑えられることがあります。

例えば、月初に高額な入院をした場合、月末にも別の医療機関で治療を受けると、同じ月内で合算されるため、より多くの医療費が払い戻される可能性があります。複数の医療機関や薬局で支払った費用も対象になることがあるため、領収書は必ず保管しておきましょう。

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マイナンバーカードと制度利用の連携

2021年から始まったマイナンバーカードの健康保険証利用により、高額療養費制度の事前申請が不要となる「限度額適用認定証」の機能が自動化されました。これにより、医療機関での窓口負担が最初から軽減され、払い戻しの手間が減少します。

2024年3月時点で、マイナンバーカードの保険証利用登録率は約60%に到達。将来的には、医療情報の一元管理によって、より質の高い医療提供が期待されています。

また、マイナポータルからの確認や、オンライン資格確認システムの導入によって、よりスムーズな医療費管理が可能になります。デジタル化による利便性向上が期待されています。これにより、医療機関や保険者間の情報共有も迅速に行えるようになり、医療の質と透明性が高まることが見込まれています。

高額療養費制度の限界と医療保険の必要性

高額療養費制度があっても、カバーされない費用(差額ベッド代・先進医療・食事代・交通費など)は自己負担です。特にがんや心疾患の治療では、先進医療を選ぶ患者が増えており、医療保険による備えが重要となります。

生命保険文化センターの調査(2022年)によると、平均的な入院1回あたりの自己負担は約22万円。これに備えるには、入院給付金付きの医療保険が有効です。

また、入院中の収入減少や通院継続にかかる費用など、治療以外にも金銭的な不安要素が多く存在します。こうした負担に対応するためにも、通院保障や就業不能保障が含まれる保険商品の検討が推奨されます。

実際に、がんと診断された40代の会社員男性が、先進医療による治療を受けた結果、技術料だけで約150万円の自己負担が発生したという事例もあります。このような突発的な出費をカバーするための備えが、日常生活の安定にもつながります。

医療保険と公的保障の併用が安心への鍵

高額療養費制度と医療保険は、互いに補完し合う存在です。制度を知り正しく使いながら、保険で不足分をカバーすることで、治療中も安心して療養できます。

特にがん・心疾患・脳卒中などの三大疾病に備える医療保険は、長期入院・高額治療に対応しており、現役世代からの準備が推奨されます。

家族の支援を必要とするケースや、介護を伴う療養生活では、より手厚い保障があることで精神的なゆとりも生まれます。家計の安定と安心した療養環境を両立させるために、制度と民間保障のバランスが重要です。

こんな人は特に要注意!

以下のような方は、制度だけでは不十分な可能性があります。
・フリーランスや自営業で傷病手当金がない方
・小さなお子さんや介護の必要な家族を支えている方
・がん家系などで将来の医療リスクが高い方
・都市部で差額ベッド代の高い病院に通う可能性がある方

これらに該当する方は、いざという時の出費に備えて、医療保険での補完を真剣に検討すべきです。

よくある質問(Q&A)

Q. 高額療養費制度は誰でも利用できますか?

A 健康保険に加入している方であれば、年齢や所得にかかわらず利用可能です。ただし、限度額の計算には所得区分が影響するため、具体的な金額は個人差があります。

Q. 高額療養費の申請はどうやって行うのですか?

A 原則、医療機関で支払った翌月以降に健康保険組合などへ申請します。ただし、マイナンバーカードを保険証として利用していれば、事前手続きなしで自動的に限度額適用がされるため、申請は不要になるケースもあります。

Q. 高額療養費制度でカバーされない費用には何がありますか?

A 差額ベッド代、先進医療費、入院時の食事代、通院の交通費などは制度の対象外です。これらはすべて自己負担となります。

Q. 医療保険に加入していれば高額療養費制度は不要ですか?

A いいえ。医療保険と高額療養費制度は補完関係にあります。医療保険だけではカバーできない部分を制度で補い、制度だけでは足りない部分を保険でカバーするのが理想です。

Q. 限度額以上の支払いがあったのに払い戻されないのはなぜ?

A 保険適用外の診療や差額ベッド代などは、高額療養費制度の対象外のため、支払っても払い戻しは受けられません。また、マイナンバーカード未登録の場合は申請が必要です。

まとめ

高額療養費制度は公的な医療保障の要ですが、それだけでは不十分な面もあります。マイナンバーカードの活用で手続きの負担は軽減されましたが、先進医療や入院生活にかかる費用への備えとして、医療保険の活用も併せて検討すべきです。

制度を知っているだけでは不十分で、実際に活用できるかどうかが重要です。制度の仕組みと自分の収入区分を把握し、万が一の際にも安心して治療に専念できる環境を整えておきましょう。

公的保障と民間保険のダブル備えが、医療リスクから家計を守る最善の手段となるでしょう。

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監修者からひとこと

スマホdeほけん編集部監修者

ファイナンシャルプランナー

高額療養費制度は非常に優れた制度ですが、すべての費用をカバーするわけではありません。特に、入院に伴う雑費や先進医療費用は公的保障の枠外です。

若いうちから医療保険に加入しておくことで、突然の病気でも家計の不安を最小限に抑えることが可能です。公的制度をベースに、リスクに応じた備えをバランス良く整えましょう。

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