

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
「高齢になると医療保険は不要」と耳にしたことがある方も多いでしょう。
しかし、実際には病気やけがのリスクが高まる一方で、経済的な不安も増していきます。本記事では、60歳以降の医療保険の必要性について、専門家視点で徹底解説します。
60〜70代の医療保険加入率は高水準
60歳を超えると医療保険に加入する人は減ると思われがちですが、実際のデータは異なります。
生命保険文化センターの2024年調査によると、90歳以上でも約80%が医療保険に加入しており、加入率は依然として高水準です。
医療保険がいらないと言われる主な理由
60歳以降、医療保険は不要とされる背景にはいくつかの理由があります。
主に以下のような要因が挙げられます。
理由 | 内容 | 注意点 |
---|---|---|
公的医療制度の充実 | 高額療養費制度などがあり、自己負担は軽減 | 差額ベッド代などは対象外 |
保険料の上昇 | 年齢が上がると保険料も高額に | 定年後の収入減で負担増 |
給付条件の厳しさ | 昔の保険は5日以上の入院など条件付き | 短期入院では給付されない場合あり |
それでも60歳以降も医療保険が必要な理由
医療保険が必要ないという意見もある一方で、実際には加入の必要性が高い人も多く存在します。
以下のようなケースに当てはまる方は、医療保険の継続または見直しを検討しましょう。
1. 通院・入院リスクの増加
年齢が上がるにつれ、病気やけがによる通院・入院の機会が増えます。
特に入院受療率・外来受療率ともに60代以降は急激に増加する傾向があり、備えは不可欠です。
2. がんリスクの上昇
厚生労働省の統計によると、がんの罹患率は60代から急増します。
がん保険や先進医療特約のある医療保険への加入が安心材料となります。
注意ポイント
がん治療は入院ではなく通院が中心になるケースも。通院給付があるかを確認しましょう。
3. 公的保障の不足分を補う
高額療養費制度では補えない差額ベッド代、食事代、先進医療などの費用がかかります。
これらに対応できるのは、民間の医療保険だけです。
4. 療養中の収入減をカバー
60歳以降もパートなどで働いている人は、入院により収入が途絶える可能性があります。
健康保険にない「傷病手当金」制度が使えない人ほど、備えが重要です。
見直しのタイミング
退職・定年などライフイベントの際は、必ず保険内容を確認しましょう。
5. 治療の選択肢を広げる
医療の進歩により、先進医療や自由診療などの選択肢が増えています。
医療保険によって、こうした治療の選択肢を持てるかどうかが変わります。
まとめ:60歳以降の医療保険は個別の判断が重要
60歳を過ぎると、保険料の上昇や公的医療制度の充実を理由に「医療保険はいらない」と考える人もいます。
しかし、病気やけがによる入院・通院のリスクが高まる世代でもあり、医療費負担や収入減への備えとして医療保険が役立つ場面は少なくありません。
また、将来の先進医療や長期療養への対応を考えると、今のうちから適切な保障を準備しておくことが賢明です。医療の進歩や生活環境の変化に合わせて、柔軟に見直す姿勢も大切です。
保障内容や加入条件、保険料とのバランスを個別に見極めながら、公的制度と民間保障をうまく組み合わせ、自分に合った選択を心がけましょう。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
医療保険は「入るべきか」「やめるべきか」といった二択で判断するものではありません。
60歳以降の保険選びでは、生活スタイルや持病の有無、収入・資産状況などを冷静に見極める必要があります。高額療養費制度などの公的支援を前提にしつつも、民間の医療保険は“安心の補完策”として有効です。
とくに入院や通院が長期化した場合、差額ベッド代や先進医療費などは自己負担となり得ます。医療の選択肢を広げたい方や、療養中の収入減が心配な方には、保険による備えが現実的な選択となるでしょう。
さらに、医療制度や保険商品は日々変化しているため、加入後も定期的な見直しを欠かさないことが重要です。
人生100年時代を見据えて、現役時代から老後までの保障設計を見直すことは、今後の生活の安心感に大きく寄与します。
一律の正解がないからこそ、専門家のアドバイスを受けながら、自分にとって最適な医療保険を選ぶことが求められます。