

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
厚生労働省は、医療費の自己負担額を抑える「高額療養費制度」の制度設計を見直すため、2024年5月から新たに専門委員会を設置して検討を進めると発表しました。患者、医療関係者、有識者が参画する形で、多面的な意見を取り入れながら秋までに新たな制度の方向性を定める予定です。
見直しの背景──医療費増と公平性の課題
高額療養費制度は、医療費が高額になった際に一定額を超えた自己負担分を払い戻す公的制度であり、1973年の創設以降、生活保障の観点から多くの国民の医療費負担を軽減してきました。
しかし、制度創設時と比べて医療の高度化・高額化、少子高齢化により、財政負担が増加。特に75歳以上の後期高齢者の医療費が全体の約4割を占める現在、公平性と持続可能性をどう確保するかが課題となっています。
専門委員会の構成と議論の焦点
今回の専門委員会は、医療経済の専門家、医師会関係者、患者団体、保険者代表などで構成され、以下の3つの柱で議論が進められます。
検討項目 | 具体的内容 | 目的 |
---|---|---|
費用負担の見直し | 自己負担上限額の再設定 | 公平な負担と制度の持続性 |
影響分析 | 所得階層ごとの家計負担試算 | 低所得層への配慮と影響軽減 |
公的支援の在り方 | 高額薬剤・がん治療費支援の在り方 | 長期療養者の経済的保護 |
Q&A:高額療養費制度の見直しについて
Q1. 高額療養費制度とは?
A. ひと月の医療費が一定額(自己負担限度額)を超えた場合、その超過分が払い戻される制度で、収入区分に応じて上限額が異なります。
Q2. なぜ見直しが必要?
A. 医療費総額の増大や人口構造の変化により、財源確保が困難になっており、特に高額医療費を支える財政の偏りが課題とされています。
Q3. 誰が影響を受ける?
A. がん、難病、透析治療など長期・高額治療を要する患者は、上限額の見直しで負担が増す可能性があります。
Q4. 民間保険でカバー可能?
A. 医療保険・がん保険の中には、高額療養費制度の対象外となる費用(差額ベッド代、先進医療費など)を補填する保障があります。保険選びが重要です。
Q5. 今後のスケジュールは?
A. 2024年5月に議論を開始し、秋までに医療保険部会で新制度案をとりまとめ、2025年度以降の実施が想定されています。
まとめ:制度改正に備えた備えと見直し
高額療養費制度は、医療費の家計負担を支える重要な公的制度です。一方、財政の持続可能性や公平な負担の観点から、制度見直しは避けられない情勢です。今後の改正に備えて、医療保険や貯蓄など、自助努力の見直しも重要です。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
ては、以下の2点を推奨します。
1. ご自身の所得区分と想定される医療費の上限を確認し、それに見合う保障があるか、民間医療保険の補償内容を点検すること。
2. 長期療養や入退院を繰り返す病気に備えて、通院・先進医療・差額ベッド代などの実費支出をカバーする補償を加えること。
制度の変化に左右されない備えを持つことが、これからの医療リスク管理の鍵になるでしょう。