

スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
保有資格
AFP・2級FP技能士
専門分野・得意分野
生命保険・社会保障・金融全般に精通。保険業界での実務経験をもとに、ユーザー目線で正確かつ中立的な情報発信を行っています。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)は、運動ニューロンが進行性に障害される神経難病の一つであり、全身の筋力低下、呼吸機能の低下を引き起こします。発症から徐々に運動機能を失っていくにもかかわらず、認知機能は比較的保たれることが多く、患者・家族ともに心理的・経済的負担が極めて大きい疾患です。
本記事では、ALSの治療と療養生活にかかる費用、および医療保険や公的支援の保障内容について、専門的に解説します。
ALSの治療と介護にかかる費用
ALSの標準治療としては、進行を遅らせるための薬剤(リルゾール、エダラボン)の継続投与が中心であり、呼吸障害が進行すると非侵襲的陽圧換気療法(NPPV)や気管切開による人工呼吸管理が導入されます。
また、栄養摂取のための胃瘻造設、痰吸引機器の使用、24時間介護体制の確立など、医療的ケアと生活支援の両面で長期的な支出が発生します。自宅療養では月額20〜30万円以上、施設入所では年間400万円を超えるケースもあります。
療養内容 | 費用目安 | 注意点 |
---|---|---|
薬物療法(リルゾール等) | 月1〜3万円 | 長期投与が前提 |
呼吸管理・胃瘻管理 | 初期費用20万円〜 | 在宅医療支援が必要 |
介護・生活支援 | 月20〜40万円 | 保険外サービスに注意 |
公的支援と医療保険の役割
ALSは特定疾患に指定されており、医療費助成(難病医療費助成制度)や介護保険制度の適用を受けることができます。また、身体障害者手帳の取得により、福祉用具や住宅改修の助成も受けられます。
とはいえ、これらの公的制度では在宅介護や生活支援に必要な全ての費用をまかなうことは難しく、医療保険による補完が重要になります。入院給付金や所定の障害状態に応じた一時金、就業不能保険の給付は、ALSのような進行性疾患において非常に有効です。
医療保険の適用範囲と留意点
ALSは発症後に診断が確定されると、通常の医療保険への新規加入はほぼ不可能となるため、発症前の備えが必須です。医療保険では、所定の重度障害状態に該当した際に、入院・手術に加え、障害給付金や就業不能給付金が支払われる契約が推奨されます。
また、在宅療養が基本となるALSにおいては、通院特約や訪問診療対象の保険特則の有無も重要な選定ポイントです。
Q&A|ALSと医療保険のよくある質問
Q1. ALS発症後に医療保険へ加入できますか?
A. 基本的に新規加入は難しいため、発症前の早期加入が必要です。
Q2. どのような保険がALSに備えられますか?
A. 入院・手術保障のほか、重度障害給付、就業不能保険、通院特約を備えた保険が有効です。
Q3. 公的な医療費助成だけでは不十分ですか?
A. 医療費はある程度補助されますが、介護や日常生活支援には公的支援外の出費も多く、補完的保険が推奨されます。
Q4. 高額療養費制度は適用されますか?
A. はい、ALSは特定疾患として高額療養費制度の対象になります。
Q5. 加入時にどの特約を確認すべきですか?
A. 重度障害給付・通院特約・在宅医療対応保障・就業不能保険の有無を確認しましょう。
まとめ|ALSと医療保険の備え
ALSは進行性かつ予後が限られる難病であり、医療だけでなく介護・生活支援を含めた多層的な支援が求められます。特に在宅療養が基本となる中で、医療保険や就業不能保険を通じて生活費や介護費用の一部をカバーすることは、家計とQOLの維持に直結します。
発症前の早期段階で、医療・介護・就労不能に備えた包括的な保障を整えておくことで、患者本人だけでなく支える家族の精神的・経済的負担の軽減が可能になります。
監修者からひとこと
スマホdeほけん編集部監修者
ファイナンシャルプランナー
ALSは神経難病の中でも進行が早く、かつ身体機能低下が顕著であるため、診断後は迅速な医療支援体制の構築と同時に、生活面での包括的対応が求められます。特に、在宅での呼吸管理や介護者のサポート体制が不十分だと、早期に生活困難に陥るリスクが高まります。
医療保険の活用は、限られた公的支援を補完し、持続可能な療養生活を実現するための重要な手段です。発症前から備えるという意識が、患者と家族双方の安心につながります。